目次
短編小説『星祭(ほしまつり)~きらめく瞬間を、みんなで~』

🎬 物語タイトル:「三日間の星祭り」
舞台:
私立星ヶ丘学園。
毎年秋に開かれる「星祭(ほしまつり)」は、地域でも評判の文化祭。
今年のテーマは「きらめく瞬間を、みんなで」。
🌟 第一章:模擬店通りの約束(模擬店・喫茶・お化け屋敷)
放課後の教室。
クラスメイトの**美羽(みう)は焼きそば担当のエプロン姿で、鉄板の前に立っていた。
親友の空(そら)**は、向かいのクラスで「和風喫茶・花衣(はなごろも)」の店員役。
お互いのクラスを行き来しながら、前日の準備に追われていた。
一方、隣の教室ではお化け屋敷のチームが装飾の真っ最中。
暗幕を張り、スモークマシンを試しては大騒ぎ。
「キャー!」「マジ怖い!」と笑い声が響く中、
空はふと、美羽の笑顔を見つめていた。
「ねぇ、美羽。文化祭が終わったら、ちゃんと話がしたいんだ。」
その言葉は、鉄板の音にかき消された。
けれど、美羽の胸の奥には、熱い想いが残った。
💃 第二章:ステージに咲く花(ステージイベント:ダンスパフォーマンス)
文化祭二日目。
屋外ステージでは、ダンス部のパフォーマンスが始まっていた。
音楽が流れ、観客の歓声が上がる。
そのステージに立つのは、空。
彼は有志グループ「Blue Flame」として出演していた。
「テーマは“燃える青春”!」と笑うその姿は、普段の静けさとはまるで別人。
ステージから見つめる先に、美羽の姿を見つける。
彼女は焼きそばの皿を片手に、目を輝かせていた。
「カッコいい……!」
その瞬間、彼女の中で何かが弾けた。
焦げた焼きそばも、もうどうでもよかった。
彼女はステージに向かって、思い切り手を振った。
🎤 第三章:星のステージへ(アイドルイベント)
文化祭最終日。
学園特設ステージでは、バーチャルアイドル「LUNA☆LINK」のホログラムライブが始まる。
リアルとバーチャルが融合した夢のような空間に、生徒も来場者も熱狂。
だが、トリを飾るのは――学生たち自身。
有志アイドルグループ「Starlight♡Bloom」が登場する。
メンバーの一人に、美羽がいた。
実は、空の提案で結成された即席ユニット。
練習時間はわずか1週間。
それでも、美羽の歌声はステージを満たしていく。
「この瞬間、絶対に忘れたくない。」
空は照明スタッフとしてステージ袖から見守っていた。
曲の最後、照明が星空のように瞬き、
美羽がマイクを握る。
「みんな、ありがとう! 星ヶ丘学園、最高ー!!」
歓声と拍手、そして夜空に打ち上がる紙吹雪。
文化祭の終わりと同時に、ふたりの物語が静かに交差した。
「ねぇ、美羽。来年も、また一緒に出よう。」
「うん、約束だよ。」
🌠 エピローグ:
三日間の文化祭が終わった校舎。
残る提灯の光と、遠くの笑い声。
机の上に置かれた紙の星には、こう書かれていた。
“きらめく瞬間を、みんなで。”
🌟登場人物(メイン)
美羽(みう):2年A組。明るく世話好き。文化祭実行委員。模擬店リーダー。
空(そら):2年A組。映像制作部所属。少し照れ屋だが仲間思い。
凛(りん):ダンス部所属。体育会系でクラスのムードメーカー。
悠(はる):文芸部所属。展示企画を担当する。おだやかで観察力がある。
葵(あおい):1年生で美羽の後輩。カフェ企画の助っ人。
第1章:放課後の教室、鉄板の音

放課後の校舎には、どこか夏の名残を含んだ風が流れていた。
星ヶ丘学園の廊下には、金属音と笑い声が混じり合い、もうすぐ始まる「星祭」の準備に心を躍らせる生徒たちの姿があった。
2年A組の教室は、すでに“屋台通りの拠点”と化していた。
机は壁際に寄せられ、中央には大きな鉄板。
黒板には「焼きそばチーム」「フランクチーム」「クレープチーム」と書かれた表がびっしりと貼られている。
「よし、ガスボンベの残量チェック終わり! 次は麺の発注ね!」
指揮を執るのは、美羽。
ポニーテールを揺らしながら、大きなチェックリストを抱えて走り回っていた。
「みうちゃん、ソースの量どうする? 去年は足りなくなったって先輩が言ってたよ」
「じゃあ、2ケース多めに頼もう! あと、割り箸も確認しておこう!」
彼女の明るい声が響くたびに、周りの空気が引き締まる。
誰もがこのクラスを成功させたいという気持ちで動いていた。
そんな中、カメラを構えた空が、入口から様子を覗いていた。
「また撮ってるの? 空くん、それ何の映像?」
「文化祭PR動画だよ。実行委員から頼まれたんだ。準備の様子も記録して、当日のオープニングで流すって」
「へぇ~、そんなのあるんだ! じゃあ、わたしたちの焼きそば姿も全国デビューかも?」
美羽が笑うと、空は少し照れくさそうにカメラを下げた。
「ま、まあ……全国は言いすぎだけど。でも、星祭の雰囲気は伝えたいなって思って」
「いいね、それ。映像で残るのって素敵だよね。準備のこの空気も、ぜんぶ思い出になるもん」
美羽は微笑んで、再び作業に戻った。
鉄板の上では試作の焼きそばがジュウジュウと音を立て、ソースの香ばしい匂いが教室に広がる。
「ちょっと焦げた!」と誰かが笑い、「その方が屋台っぽい!」と別の誰かが返す。
その笑い声の輪の中に、確かに青春の時間があった。
日が沈みかけた頃、教室の照明が柔らかく灯る。
窓の外ではオレンジ色の夕陽が校庭のフェンスを長く照らしていた。
「今日の作業はここまでにしようか」
「うん、あとは明日ポスター貼るだけだね!」
皆が道具を片づけはじめた頃、美羽はふと黒板の隅を見た。
そこにはクラスメイトの誰かが書いた落書きがあった。
“2-A 焼きそば 絶対成功!”
小さな文字。でも、その決意は本物だった。
彼女はチョークを手に取り、その下に一行書き足した。
“みんなで星祭を楽しもう!”
その瞬間、背後から声がした。
「いい言葉だね」
振り返ると、空が立っていた。
彼の手にはカメラ。録画ランプが赤く光っている。
「ちょっ、撮ってたの!?」
「うん。今の、いい表情だったから」
「もう、勝手に撮らないでよ!」
顔を赤くして笑う美羽。その姿に、空も笑った。
「……でも、本当にそうだね。楽しもう、って気持ちが一番大事だと思う。成功よりも」
「うん、わたしもそう思う。だって、せっかくみんなで作るんだもん」
その言葉に、空は小さくうなずいた。
ガラス窓の外、夜風がカーテンを揺らし、街の灯が遠くで瞬いている。
静かな放課後の教室。
鉄板の上には、まだ少しだけ焦げた麺が残っていた。
第2章:廊下を駆け抜けるポスターと、はにかむカフェの笑顔
翌朝の星ヶ丘学園は、すでにお祭り前の熱気に包まれていた。
職員室前の掲示板には「文化祭まであと3日!」の文字が踊り、廊下のあちこちで模造紙やペンキの匂いが漂っている。
美羽は手に抱えたポスターを、両腕いっぱいに抱えながら駆けていた。
風が髪を乱し、紙がバサバサと音を立てる。
途中、別のクラスの男子が声をかけた。
「おーい、美羽! ポスター貼り、そんな急がなくても逃げねぇぞ!」
「逃げられたら困るんだってば! 貼る場所、もう他のクラスが取っちゃうかもしれないの!」
2年A組の焼きそば屋台は、模擬店通りの中でも“メインゲート近く”という一等地を狙っていた。
しかし、その場所は例年人気で、場所取り合戦が恒例行事となっている。
ポスターを貼り終えた美羽がほっと息をついたとき、背後から小さな声がした。
「あの……テープ、これ使ってくださいっ」
振り返ると、1年生の女子が立っていた。
髪を耳にかけながら、少し恥ずかしそうに差し出してくるのは、透明の両面テープ。
「ありがとう! 助かる~!」
「い、いえっ! あの……先輩たちの焼きそば、すっごく人気なんですよね。去年、私も買いました!」
「そうなの? うれしい! えっと、あなたは?」
「1年C組の葵です。喫茶店企画で、お手伝いしてて……」
「喫茶店! いいね~! 今年はどんなテーマなの?」
「“放課後のカフェ・リボン”って言って、制服アレンジのカフェです」
葵は少し照れながらも、うれしそうに話す。
その頬には、朝の光が柔らかく差していた。
美羽は思わず笑みを返した。
「葵ちゃん、よかったらうちの焼きそばも来てよ! 特別に“先輩割引”してあげる!」
「えっ、本当ですか? やった!」
ふたりの笑い声が、ポスターの紙の音と一緒に廊下に響いた。
星祭の準備期間――そこには、上下関係も学年の壁もなく、ただ「一緒に作る仲間」がいた。
放課後、美羽は再び教室に戻った。
机の上には焼きそばの材料リストと、文化祭当日のシフト表。
「午前の部:美羽・空・凛」「午後の部:悠・葵(助っ人)」と書かれている。
「あ、葵ちゃん来てくれるんだ」
と、美羽が呟くと、空が顔を上げた。
「誰それ?」
「1年生。カフェやってる子。手伝ってくれるんだって」
「へぇ……いい子そうだね」
カメラを構えながら、空はレンズ越しに黒板のシフト表を撮る。
その手際はどこか丁寧で、
“ただの記録”ではなく、“思い出のための記録”のように見えた。
「ねぇ空くん、文化祭当日ってさ、撮る方が多いの? それとも楽しむ方?」
「うーん……多分、撮ってる方かな。気づいたらいつもファインダー越しに見てる」
「もったいないよ、せっかくの文化祭なのに」
美羽の言葉に、空は少し笑った。
「でもさ、あとで見返したとき、楽しかったことを思い出せるなら、それもいいかなって」
「……なんか、そういうの空くんらしい」
静かな夕陽が教室の中に射し込み、影が長く伸びていく。
美羽は窓の外を見ながら、ふと呟いた。
「文化祭って、準備してるときが一番楽しいのかもね」
「うん、わかる。その“今”が、きっと一番輝いてる」
ふたりの会話が重なり、少しの沈黙が流れる。
その間にも、廊下の向こうでは、凛の笑い声が響いていた。
ダンス部の練習帰りらしい。
「おっ、美羽、まだいたの? 明日の音響テスト、グラウンド集合だって!」
「了解~! あ、焼きそばのタレこぼさないでね!」
「もー、去年の話をまだ言う!?(笑)」
笑い合う三人。
その笑顔の中に、確かに“青春”があった。
夜、文化祭実行委員の会議室。
壁には各クラスの進行表が貼られ、プロジェクターには当日のタイムスケジュールが映し出されていた。
「ステージ企画」――ダンス部、軽音部、そして一般出演のカラオケ大会。
美羽はメモを取りながら、隣の空に小声で囁いた。
「カラオケ大会、出る人まだ決まってないって」
「出たい人、少ないのかな」
「たぶん、勇気いるよね。あのステージ、けっこう観客多いし」
「美羽は出ないの?」
「まさか(笑)わたし、焼きそばで手いっぱいだよ!」
その会話を聞いていた凛が、後ろからニヤリと笑った。
「じゃあ、うちのダンスチームで出なよ。ステージ空いてる時間、一緒に盛り上げよう!」
「えぇ~! わたしダンスなんてムリだよ!」
「いや、去年の体育祭の時、ノリノリだったじゃん!」
「それは……応援してただけ!」
三人の声に、委員会室の周りがくすくす笑う。
どこまでも明るい空気。
それが、この星祭を支えるエネルギーだった。
翌日の昼休み。
焼きそばチームの準備を終えた美羽は、葵に誘われて1年C組の教室を訪れていた。
「ようこそ、“放課後のカフェ・リボン”へ!」
扉を開けると、ふわりと甘い香りが漂ってくる。
教室全体が淡いピンクと生成り色のリボンで飾られ、机の上にはレースのクロス、手作りのメニュー表。
まるで本物のカフェのようだった。
「わぁ……かわいい! ここ、ほんとに教室?」
「ありがとうございますっ。カフェオレとクッキーの試食、どうぞ!」
葵が差し出すカップは、ほんのり湯気を立てていた。
ひと口飲むと、優しい甘さが広がる。
「これ、すごく美味しい! 砂糖控えめだね」
「はい、放課後のほっと一息をイメージしてるんです。テーマカラーが“やさしいピンク”で……」
説明する葵の顔は真剣で、でも楽しそうだった。
文化祭のために一生懸命考えたのが伝わる。
「がんばってるね、葵ちゃん」
「はいっ! 先輩たちの焼きそばも絶対食べに行きますね!」
「うん、待ってる!」
そのとき、背後から声がした。
「お、みうちゃん発見~!」
振り向くと、凛が手を振っている。
どうやらダンス部の練習帰りらしく、ジャージ姿のままだ。
「ここ、すごく雰囲気いいじゃん! 本番、絶対人気出るよ!」
「ありがとうございます!」と葵がぺこりと頭を下げる。
「ねぇ、美羽。空くんも呼んで、ここでちょっと動画撮らせてもらおうよ!」
「いいね! 文化祭PR動画にぴったりだし!」
数分後、空がカメラを持ってやってきた。
ファインダーを覗き込みながら、室内を一周。
「光の入り方、きれいだな……。よし、撮るね」
カメラが回ると、葵が少し緊張した様子でお辞儀をした。
「ようこそ、カフェ・リボンへ。おすすめは手作りクッキーと……えっと……!」
「笑って、笑って!」と凛が後ろから合いの手を入れる。
一瞬の間。
そして、葵がふっと笑った。
その笑顔は、まるで午後の光の中に咲いた花のようだった。
空は思わず息を止め、シャッターを押す。
──“偶然の笑顔”。
それが、この映像の中で最も印象的な瞬間になるとは、その時は誰も知らなかった。
放課後。
校舎の裏手では、装飾チームが大きなアーチを設置していた。
「星祭」の文字が描かれた横断幕。
そこに取り付けるライトが、うまく点灯しない。
「電源、どこにつなぐんだっけ!?」
「延長コード、足りない!」
混乱の声が飛び交う中、美羽も駆けつけた。
「どうしたの!?」
「ライトがつかないの! コンセントが足りなくて……」
「体育館裏に予備コードあるよ! 凛、取りに行って!」
「了解!」
凛が走り去り、美羽は電源ボックスを確認する。
そこへ、空も合流した。
「配線、僕が見るよ。映像機材で慣れてるから」
「助かる!」
二人でしゃがみ込み、コードを繋ぎ直す。
空の指が器用に動くたび、少しずつ光が戻っていく。
最後のスイッチを押すと、
パッと、アーチの文字が灯った。
「ついたーっ!」
歓声が上がる。
「ありがとう、空くん!」
「いや、みんなの頑張りだよ」
美羽はその光を見上げながら、胸の奥が少し熱くなるのを感じた。
きっと、この瞬間が始まりなんだ。
みんなの努力がひとつになって、
“星祭”が形になっていく――。
夜。
教室の窓から、グラウンドのアーチが見える。
小さな光が瞬きながら、風に揺れている。
美羽は机の上に肘をつき、ぼんやりとその光景を眺めていた。
今日一日を思い返す。
葵の笑顔。
凛の元気。
空のカメラのシャッター音。
全部が、ひとつの物語のように心に残る。
そのとき、メッセージアプリが鳴った。
差出人は「空」。
『今日撮ったカフェの映像、めっちゃいい感じだったよ。
笑顔のとこ、使わせてもらうね。』
『ありがとう! きっと葵ちゃんも喜ぶ!』
『うん。ああいう自然な笑顔が、星祭っぽいなって思った。』
返信を終えたあと、美羽は小さく息を吐いた。
窓の外では、街の明かりが滲んでいる。
「……本当に、楽しみだな」
静かな夜風がカーテンを揺らし、遠くで部活の声がまだ聞こえていた。
文化祭まであと二日。
この学園の中に、少しずつ“光”が増えていく。
第三章 きらめく準備の日々
放課後の廊下は、文化祭準備の音でいっぱいだった。
カッターの刃が段ボールを切る音、ビニールテープを引きちぎる音、ペンキの匂い、そしてあちこちから聞こえる笑い声。
この時期の学校は、まるで小さな街のように騒がしい。
「空ー! 看板のロゴ、もう少し右にずらして!」
「了解。……これでどう?」
映像制作部の空は、タブレットを持って模擬店のロゴ位置を微調整していた。
教室の黒板には「2年A組 模擬店《ミウ's Kitchen》」と大きく書かれている。
焼きそば、クレープ、タピオカドリンク――文化祭の定番を詰め込んだ、みんなの夢の屋台だ。
リーダーである美羽は、腕にバンダナを巻きながらキッチンエリアの準備をしていた。
「鉄板の位置、ここだと煙がこもるかも……。もう少し窓際に寄せようか」
「了解! 凛、こっち手伝って!」
「はいはい! 体育会系の腕力なめんなよ〜!」
凛は机を軽々と持ち上げ、男子たちと息を合わせて移動させた。
文芸部の悠はというと、模擬店のポップデザインを描いていた。
「“笑顔で焼きたて”って言葉、なんかいいね。美羽の雰囲気にぴったり」
「えっ、そ、そうかな……?」
「うん。お客さんが笑顔になるの、想像できる」
悠の穏やかな言葉に、美羽は少し照れ笑いを浮かべた。
A組の教室はまさに、文化祭の“台所”。
リーダーの美羽を中心に、クラス全体が一つの大きな歯車のように回っていた。
午後になると、美羽は校内を回る実行委員の仕事に向かった。
文化祭全体の進行確認。各クラスの準備状況を記録し、ステージ班に伝えるのが役目だ。
最初に向かったのは、2年C組――“お化け屋敷”。
ドアの前からして雰囲気が違う。
黒いビニールが垂れ下がり、通路には薄暗いランタンが灯っていた。
「……すごい、もう完成間近だね」
「美羽先輩!」
声をかけてきたのは、後輩の葵だった。
彼女は1年生ながら、C組の準備を手伝っている。文化祭実行委員の美羽に憧れて声をかけたのがきっかけだった。
「お化け屋敷、順調?」
「はい! 中は暗幕と段ボールで迷路になってて、音響も入れる予定なんです」
「へぇ〜、気合入ってる! 今年の目玉になりそう」
美羽が感心すると、葵は少し頬を染めて笑った。
「C組のみんな、すごく頑張ってて……。なんか、こういうの、青春だなって思います」
美羽はうんうんと頷いた。
「わかる。文化祭の準備って、なんでこんなに楽しいんだろうね」
「……たぶん、みんなが“同じ方向”を見てるからじゃないですか?」
葵の言葉に、美羽は一瞬、息をのんだ。
――そうだ。
誰かが主役じゃなくて、全員が一緒に舞台を作ってる。
その一体感こそが、文化祭の魔法なのかもしれない。
隣の2年D組の教室を覗くと、こちらはまた別世界だった。
「メイド喫茶へようこそ♡」
入口の看板に、手描きのハートと紅茶のカップ。
机には白いレースクロスがかかり、可愛い制服姿の生徒たちが打ち合わせ中だ。
「D組、気合い入ってるね〜」
「去年より豪華だよ! SNSで宣伝までしてたし」
同行していた空が感心したように言うと、美羽は笑った。
「じゃあ負けてられないね。A組も模擬店、最高の雰囲気にしよ!」
「うん! 俺、PVのラストカット、明日の朝に撮り直すよ」
映像制作部の空は、A組模擬店のPRムービーを担当している。
彼の映像が、文化祭当日のステージ大型スクリーンで流れる予定なのだ。
美羽は、彼の背中を見ながら思った。
――みんなが、自分の得意なことで輝いてる。
私は、リーダーとしてどこまで支えられているんだろう。
放課後。
A組の教室では再び準備が進んでいた。
凛がダンスの練習を終えて戻り、汗を拭きながら言う。
「ステージ班、リハ順調だったよ! 明日は軽音部とダンス部の合同でトリらしい」
「うわ〜、それ絶対盛り上がるね!」
「ね、文化祭終わったら絶対打ち上げしよう!」
悠が静かにうなずく。
「模擬店の売り上げも大事だけど、“思い出の売り上げ”もちゃんと残さないとね」
「うまいこと言うねぇ!」
みんなが笑い、教室が再び温かい空気に包まれた。
その中で、美羽は一歩下がって全体を見渡す。
看板が輝き、机が整い、メニューのポップが並ぶ。
A組の文化祭――形になってきた。
帰り道。
夕暮れの空の下、凛がポツリとつぶやいた。
「ねぇ、美羽。文化祭って、終わったら泣くと思う?」
「え?」
「私、毎年そうなんだ。最後の片付けの時、なんか泣けてきてさ」
美羽は少し笑って、でも静かに答えた。
「泣くかもね。でもそれは、“やりきった”って証拠だと思う」
「……うん。そうだね」
オレンジ色の光の中で、二人の影がゆっくり伸びていった。
その光景が、まるで文化祭そのものの輝きのように見えた。
夜。
自室の机に座った美羽は、模擬店のタイムスケジュールを確認していた。
「準備、完了。明日は朝から全力、だね」
スマホを開くと、クラスのグループチャットが動いていた。
凛:ポップ完成ー!!
空:動画、明朝アップ予定!
悠:スローガン貼った。あとは本番だけ。
美羽:みんな最高✨ 明日は笑顔で行こう!
その一言を打った瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
焦りも不安もある。けれど、それ以上に楽しみが勝っている。
明日は――文化祭本番。
笑顔と汗と、ちょっぴりの涙がきっと混じる日。
けれどその全部が、きっと一生忘れられない宝物になる。
第4章 幕が上がる瞬間
🌸第4章「模擬店通りの約束①」
朝の光が校舎の窓を透かして、柔らかく教室の床に射し込んでいた。
秋の文化祭初日。いつもより早く登校した美羽は、A組の教室を見渡して深呼吸した。
昨日までの雑然とした空気が、今は少しだけ整って見える。カーテンの代わりに吊るしたガーランド、机を並べて作ったカウンター、そして黒板に書かれたチョークのメニュー。
「2年A組 喫茶 “星のカフェテラス”」
その文字の下には、小さく手書きで“本日のおすすめ:手作りクッキーとホットカフェオレ”と添えられていた。
「よし、オープン準備完了っと!」
エプロンの紐を結び直しながら、美羽は周囲を見回した。
カフェ衣装に身を包んだクラスメイトたちが、それぞれの持ち場で動き始めている。メイド服を着た女子たちがトレーを抱え、男子が笑いながら呼び込み用の看板を持ち出していく。
「美羽先輩! BGM、これでいいですか?」
声をかけてきたのは葵だった。
1年生ながら手際が良く、今日も補助スタッフとして朝から駆けつけてくれている。
「うん、優しいピアノ曲でぴったり。ありがとう、葵ちゃん」
「ふふっ、やったぁ。先輩のカフェ、絶対人気出ますよ」
屈託のない笑顔に、美羽は自然と頬を緩めた。
そのとき、廊下から賑やかな声が聞こえてくる。
「C組のお化け屋敷、動作テスト始めまーす!」
「D組、メイド喫茶の内装チェックお願いしまーす!」
どのクラスも準備の最終段階。
それぞれの扉の向こうから、笑い声と緊張が混じり合ってこぼれてくる。
「お化け屋敷……かぁ。うちの隣、C組だよね」
美羽がつぶやくと、カウンター越しに凛が顔を出した。
「うん、昨日ちょっと覗いたけど、あれ本気だよ。暗幕の張り方とか、プロ並み!」
「えー、怖いの苦手なんだよね……」
「でも絶対行こ? 空くんも誘ってさ!」
茶目っ気たっぷりに笑う凛の背後で、音響スタッフの悠が静かに配線をチェックしている。
「音量バランス、OK。空くんの映像も確認した?」
「うん、バッチリ! 窓のスクリーンに映すやつ、すごく綺麗だったよ」
悠の言葉に、美羽はふと胸の奥が温かくなった。
——空が撮ってくれた“青空と校舎”の映像。
昨日の夕方、校庭の隅で撮影したものだ。光を反射する窓、風に揺れる木の葉、そして笑う生徒たちの姿。
それを編集して、空はカフェの雰囲気映像として仕上げてくれた。
「朝の光と映像、いい感じだね」
いつの間にか、空が扉の向こうから顔を出していた。
カメラを首に提げ、少し照れたような笑みを浮かべている。
「うちのカフェ、思ったより本格的だな」
「でしょ? “星のカフェテラス”だからね。空くんの映像、すっごく評判いいよ」
「……ありがとう。じゃあ、今日は撮影係に専念するよ。文化祭の記録も頼まれてるし」
「うん、お願い! でも、たまには休憩してね?」
そう言って笑い合う二人の背後で、開場を告げるチャイムが鳴り響いた。
——文化祭、開幕。
廊下が一瞬でざわめきに包まれた。
色とりどりのポスター、焼きそばの香ばしい匂い、フランクフルトを焼く音。
体育館のほうからはリハーサル中のドラムの響きが聞こえてくる。
まるで町が動き出したような活気に、校舎全体が息づいていた。
「いらっしゃいませ〜! 星のカフェテラスへようこそ!」
美羽たちの声が教室に響く。最初の来場者が入ってきて、席に座る。
緊張でぎこちなかった動きも、時間が経つにつれて自然になっていく。
カフェの窓越しに見える青空が、まるで祝福しているようだった。
——昼過ぎ。
行列ができるほどの盛況ぶりに、美羽は息をつく暇もなかった。
クッキーが次々と売れていき、ホットカフェオレの香りが漂う。
笑顔で接客をしながらも、どこかで「これが終わったら少し外を見よう」と思っていた。
「美羽、ちょっと抜けてきていいよ。休憩時間に入ったし」
悠がそう言って、肩を軽く叩く。
「ありがとう。じゃあ少しだけ——」
廊下に出ると、焼きそばの湯気がふわっと流れてきた。
鉄板の上で音を立てて焼かれる麺の香り、から揚げの油の音、
そして遠くで流れるカラオケ大会の笑い声。
その全部が、ひとつの風景をつくっていた。
ふと、C組の前を通りかかる。
暗幕が閉め切られた教室から、子どもたちの悲鳴と笑い声が漏れていた。
「わぁ〜っ!」「出たぁぁ!」
——まさに大盛況。
その隣、D組のメイド喫茶の前では、写真撮影をする人の列。
「お嬢様、お帰りなさいませ〜!」
メイド服姿の同級生たちが楽しそうに声を張り上げている。
(みんな、本気だなぁ……)
胸の奥に、じんわりと温かいものが広がる。
この空気、この笑い、この一体感。
文化祭という“非日常”が、確かに今ここにある。
視線を上げると、校庭の向こうで空がカメラを構えていた。
人波の中でもすぐにわかる。光の向こうで、シャッターを切る横顔。
美羽は小さく手を振った。
空が気づいて、少し照れたようにカメラを下げ、手を振り返す。
風がそよぎ、木の葉が舞い上がる。
太陽の光が校舎を照らし、その瞬間を包み込む。
——こうして、文化祭初日は幕を開けた。
まだ始まったばかり。
だけど、美羽はもう知っていた。
この三日間が、きっと一生忘れられない季節になることを。
第5章「模擬店通りの約束②」
昼の喧騒が少し落ち着き、校庭の太陽も斜めに傾き始めた頃、A組のカフェにはひと息つく時間が訪れた。
「ふぅ……やっと少し落ち着いたね」
美羽がカウンターに手をつき、深呼吸をする。
「でも、この後が勝負だよ。午後は来客が増えるから」
葵が慣れない手つきでトレーを整えながら、少し緊張した声で言う。
——午前中は順調だった。
お客さんの笑顔、クッキーやオレの売れ行き。
凛たちダンス部のパフォーマンスも好評で、隣のC組のお化け屋敷は大行列。
D組のメイド喫茶も写真撮影の列が途切れない。
「ちょっと美羽先輩!」
葵の呼ぶ声に振り向くと、空がカメラを肩にかけて立っていた。
「ねえ、ちょっと映像を撮りたいんだけど、いい?」
「うん、もちろん!」
美羽が笑うと、空はレンズを向けて教室内をゆっくりと撮影し始める。
カフェの中の人々、笑顔で楽しむ来場者、料理を運ぶクラスメイトたち。
空はそのすべてを丁寧に切り取る。
「……これ、文化祭の記録じゃなくて、なんか映像作品みたいになるね」
美羽がつぶやくと、空は少し照れたように笑った。
「うん。タイトル、なんか考えようかな……“青の詩”ってどう?」
青空の光と、教室の明るい色彩、そして笑顔。
それを象徴する名前として、ふと思いついたものだった。
「いいね……素敵な名前」
美羽は頷き、自然と笑みがこぼれた。
午後の模擬店通りはさらに賑わいを増していた。
C組のお化け屋敷は、行列が教室前の廊下を埋め尽くすほど。
「わぁ、これ本格的だね!」
「ちょっと怖いけど、行ってみたくなる!」
訪れる人々の声が、ドアの向こうから漏れ聞こえる。
D組のメイド喫茶は、写真を撮る人でいっぱいだ。
「お嬢様、お帰りなさいませ〜!」
メイドたちの声が響き、撮影ポーズを取る来場者の笑顔がカメラに収められていく。
「隣の二つの教室も、すごく頑張ってるな……」
美羽はカウンター越しに、隣の教室を見やった。
そして、ふと自分たちのクラスのカフェを見下ろすと、
「やっぱり、私たちも負けてられないな」と気が引き締まる。
そんな中、小さなトラブルも起きた。
「クッキーが……、あと3枚しか残ってない!」
葵が慌てて声を上げる。
「大丈夫、大丈夫! 私も補充してくる!」
美羽は手際よく動き、焼き上がったクッキーを追加で並べる。
同時に、ホットカフェオレのサーバーが一瞬詰まり、温かいミルクが少しこぼれる。
「わわっ、こぼれちゃった!」
凛が笑いながら拭き取り、周囲も手伝う。
「こういう時こそ、チームワークだね」
美羽の言葉に、皆が自然と笑顔になる。
午後の光が窓を斜めに差し込む頃、空がまたカメラを構えた。
「美羽、こっち向いて。今、すごく自然な瞬間だから」
「えっ……うん」
美羽が微笑むと、空はシャッターを切る。
その瞬間、教室の空気、来場者の笑顔、光と影。
すべてが一枚の映像として刻まれるようだった。
「……これが、“青の詩”の始まりかもね」
空のつぶやきに、美羽は小さく頷いた。
「うん。この瞬間も、後で思い出せるね」
——午後の時間はあっという間に過ぎていった。
クラスメイトたちは互いに助け合いながら、笑顔を絶やさず。
訪れる人々もまた、その空気感を楽しんでいた。
夕暮れの光が窓から差し込み、教室を柔らかく染める。
「ふぅ……今日一日、やっぱり文化祭ってすごいね」
葵がカウンターの端に座ってつぶやく。
「うん……。そして、まだまだこれからも続くんだね」
美羽は心の中で、この三日間の特別な時間を大切に刻んだ。
——その瞬間、美羽は気づいた。
文化祭は単なる模擬店やステージのイベントじゃない。
仲間と共有する瞬間、笑顔、失敗、助け合い――
そのすべてが、何よりの思い出になるのだと。
そして、空のカメラには、今日のすべてが「青の詩」として静かに収められていく。
第6章「ステージに咲く花①」

文化祭二日目の朝、校庭は前日以上の活気に満ちていた。
青空は透き通るように澄み渡り、太陽の光が校舎の壁を柔らかく照らす。
「よーし、今日こそ完璧に決めるぞ!」
体育館の舞台袖で、凛が拳を握りしめて叫ぶ。
ダンス部の仲間たちも一列に並び、息を整えながら深呼吸する。
「リハーサル通りに行こう、焦らず、楽しむこと」
顧問の先生が優しく声をかけると、緊張していた空気が少し和らいだ。
美羽はカフェのシフトを終えた後、昼前に体育館へ駆けつけた。
「凛……頑張ってるかな」
舞台袖から見上げるステージの照明、反射する床、幕の向こうの観客席。
それだけで胸が高鳴る。
そのとき、空も来ていた。
カメラを手に、舞台袖から部員たちを静かに撮影している。
「美羽、すごくいいタイミングで来たね」
「うん……凛たち、応援したくて」
舞台袖では、メンバーが最後の確認をしていた。
「足のステップ、右足からだよね」
「うん、タイミングは合ってる」
小声で確認し合う彼女たちの表情には、少しの不安と、強い決意が混ざっていた。
「……いくよ、皆!」
凛の掛け声で、舞台のライトが一斉に点灯する。
反射する光が、まるでスポットライトのように床を照らし、舞台全体を包む。
観客席からはざわめきと拍手が起こった。
「うわ……すごい、もう始まったんだ」
美羽は手を握りしめ、空もシャッターを切る準備を整える。
音楽が鳴り出すと、凛たちの体が自然に動き出した。
軽やかなステップ、伸びやかな手の動き。
一つ一つの振り付けが、仲間との呼吸のように重なり合う。
「これまでの練習、全部ここにかける!」
心の中で凛が呟き、メンバー全員の視線が揃う。
観客の目は彼女たちに集中し、拍手が静かに加速していく。
ステージの上、彼女たちはまるで花が咲くように輝いていた。
一瞬一瞬の表情、笑顔、集中する眼差し。
美羽はその姿を見て、胸がいっぱいになった。
——途中、少し息が合わない瞬間もあった。
でも、凛はすぐにメンバーの手を見て、リズムを取り戻す。
「大丈夫、私たちならできる!」
その声が仲間を励まし、観客の空気を引き込む。
空もカメラ越しに、舞台の一部始終を丁寧に切り取っていく。
「この瞬間、絶対に映像として残したい」
彼の心の中で、映像作品「青の詩」の中で舞台が新たな一章として刻まれることを確信する。
音楽のクライマックス、凛が中心にジャンプを決める。
観客席から大きな拍手と歓声が響き、ステージは熱気に包まれた。
美羽も思わず拍手を送り、隣の葵も歓声を上げる。
「すごい……凛たち、本当に輝いてる」
幕が閉じる瞬間、舞台のメンバー全員が肩を組み、笑顔で一礼する。
息を切らしながらも、その表情には達成感と満足感が溢れていた。
——ステージ裏で、凛が美羽のほうを見て笑った。
「見てくれた? すごく楽しかったんだよ!」
「うん、すっごく輝いてたよ!」
その瞬間、美羽の胸に、文化祭二日目の幸せな景色がしっかりと刻まれた。
空もまた、カメラのファインダー越しに、仲間たちの笑顔を静かに収める。
「これも……“青の詩”の一部になるんだな」
思わず小さく呟いたその声に、ステージの熱気が溶け込んでいくようだった。
——こうして、文化祭二日目のステージは幕を開け、
仲間たちの努力と友情が光を放ち始めたのだった。
第7章「ステージに咲く花②」
体育館の扉が開かれると、ざわめきと期待が一気に広がった。
文化祭二日目の午後、メインステージの時間が近づき、観客席はすでにほぼ満員。
子どもから大人まで、来場者の目が舞台に集中する。
「いよいよだね……」
美羽はカフェの短いシフトを終えて駆けつけた。
葵も一緒で、二人はステージの正面から部員たちの緊張感を感じ取る。
舞台袖で、凛たちは最後の確認をしていた。
「息合わせて、笑顔を忘れずに」
顧問の先生の声に、メンバー全員が深呼吸する。
「ステージは一瞬一瞬が勝負だよ。楽しもう!」
凛が仲間たちの肩を軽く叩き、力強く微笑む。
音楽が始まる。
ライトが煌めき、観客席の視線が一斉にステージへ集まる。
一歩踏み出すたびに、床が振動する。
凛たちは練習通りにステップを踏み、手の動きを合わせる。
「行くよ!」
中心の凛が声を上げ、メンバー全員が動きを揃える。
——息を合わせ、笑顔を見せ、力強く踊る。
観客席から自然と拍手が生まれ、歓声が上がる。
美羽は胸が高鳴り、思わず手を叩いた。
「すごい……みんな、輝いてる」
葵も目を輝かせる。
「うん! 努力が全部、ここに表れてる!」
舞台上、少しステップが乱れた瞬間もあった。
でも、凛はすぐにメンバーの手を取り、笑顔でリズムを取り戻す。
その柔軟さ、仲間との信頼が、観客に伝わっていく。
空はカメラを手に、ステージを切り取る。
「今の瞬間、絶対に映像に残さなきゃ」
シャッターの音が小さく響くたび、仲間たちの輝きが画面に刻まれる。
クライマックス、凛のジャンプが決まり、メンバー全員が息を揃えてポーズを取る。
観客席は拍手と歓声で揺れ、体育館全体が熱気に包まれた。
美羽は思わず立ち上がり、手を振る。
「やった……!」
葵も笑顔で隣に立つ。
——幕が下りる瞬間。
ステージ上の凛たちは肩を組み、息を切らしながら深く一礼する。
汗に光る笑顔、互いを見つめ合う瞳。
その一瞬一瞬が、文化祭二日目の最高の景色となった。
「本当に、最高だったね!」
凛の声に、部員全員が笑顔で頷く。
「努力した成果が、こうして目に見えるって、すごく幸せだよ」
美羽も感動のまま言葉をこぼす。
空もカメラを下ろし、満足そうに頷く。
「これも……“青の詩”の一部になる」
彼のつぶやきに、静かに拍手が重なった。
——舞台裏。
メンバーたちは汗だくながらも、達成感に満ちた表情をしている。
「やっと終わった……でも、楽しかった!」
「最高のステージだったね」
仲間同士、肩を抱き合い、笑いと涙が混ざる。
美羽はその光景を胸に刻んだ。
——文化祭二日目、ステージに咲いた花。
それは、努力と友情、そして信じ合う心が形になった瞬間だった。
夕暮れの体育館、ライトが徐々に落とされる。
観客が帰り始め、校舎に静けさが戻ると、美羽と空は外へ出た。
「ねえ、空……今日も一日、ありがとう」
「うん、でも僕も楽しかったよ。君たちの笑顔が最高だった」
青い空に染まる夕陽が、二人を優しく照らす。
——こうして、文化祭二日目のステージは幕を閉じ、
仲間たちの努力と友情が確かに花開いた。
第8章「星のステージへ①」

文化祭三日目、校舎は朝から華やかな空気に包まれていた。
昨日までの模擬店やステージイベントの余韻がまだ校舎に残り、
来場者も学生も、最終日の盛り上がりを心待ちにしている。
「ついに最終日だね……」
美羽はカフェの手伝いを終え、校庭の中心に立って深呼吸する。
「うん……今日はステージも楽しみだし、最後まで全力で楽しもう」
葵も隣で頷く。
体育館では、三日目の目玉であるアイドルイベントの準備が着々と進められていた。
ステージのライトが点灯し、音響チェックが行われる。
「これから始まるんだ……本当に夢みたい」
観客席に座る学生たちの目は輝き、期待と緊張が混ざった空気が漂う。
空もカメラを肩にかけ、舞台裏で部員たちを撮影していた。
「今日も“青の詩”の一部として残したいな」
彼の瞳に映るのは、仲間たちの緊張の表情と、舞台に向かう熱意。
ステージ袖では、有志の学生たちが最終確認をしていた。
衣装のチェック、振り付けの確認、マイクの位置調整。
「大丈夫、練習通りにやれば絶対に上手くいく!」
中心メンバーの声に、周囲が頷く。
舞台前、観客席はすでに満席に近い。
来場者のざわめきが体育館全体に広がり、ワクワクと緊張が入り混じる。
「皆、心の準備はいい?」
司会者の声が響き、拍手が一斉に起こる。
舞台袖の学生たちは息を整え、最後の深呼吸をする。
「ここまで練習してきたんだ……自信を持とう」
小声で互いに声をかけ合い、笑顔を交わす。
そして、ライトが一斉にステージを照らす。
「スターライト、スタート!」
音楽が鳴り出すと、会場の熱気が一気に高まった。
舞台に立つ学生たちは、笑顔と力強さを合わせ、観客に向けてパフォーマンスを開始する。
一歩一歩、音楽と呼吸を合わせて踊る姿は、まるで夜空に咲く星のように輝いていた。
美羽は正面からその光景を見つめ、心の中で呟く。
「凛たちのステージもそうだったけど……やっぱり、舞台ってすごいな」
葵も隣で拍手を送りながら微笑む。
空はカメラを構え、舞台の一瞬一瞬を切り取る。
「この光景も、“青の詩”の中に刻もう」
シャッターの音が静かに体育館に響き、学生たちの努力と笑顔が映像として残されていく。
——そして、観客の歓声がステージを包み込み、
学生たちはその声に背中を押されるように、より力強く、より楽しそうにパフォーマンスを続ける。
美羽は、模擬店やダンスステージを経て培った文化祭の熱気を思い返す。
——この三日間で、彼女たちはたくさんの経験を積み、
仲間との絆を深め、笑顔の花を咲かせてきたのだと実感する。
ステージのライトが瞬き、音楽がクライマックスを迎える。
観客は手拍子を送り、歓声は頂点に達する。
「これが……文化祭の魔法なんだ」
美羽は胸の奥で静かに感動を噛み締めた。
舞台袖で、学生たちは互いを見つめ合い、笑顔を交わす。
緊張と喜び、努力の結晶が、今この瞬間、形となって輝いている。
——こうして、文化祭三日目のアイドルイベントは幕を開け、
新たな友情と希望、そして青春の輝きが舞台に咲き誇ったのだった。
第9章「星のステージへ②」
体育館の空気は、まるで静寂と興奮が混ざったような緊張感に包まれていた。
観客席はほぼ満員で、子どもから大人まで、目を輝かせてステージを見つめる。
「大丈夫……落ち着いて、楽しもう」
中心のリーダーが小声で仲間に声をかける。
衣装の煌めき、マイクの感触、ステージの床の反射。
全てが、今この瞬間のために準備されてきたものだった。
音楽が鳴り出す。
ライトが一斉にステージを照らし、観客席からは小さな拍手と期待のざわめきが広がる。
学生たちは一歩踏み出す。
振り付けを正確に、笑顔を忘れず、観客に向けてパフォーマンスを届ける。
「ここまでの努力を、全部出すんだ!」
胸の中でリーダーが強く思う。
観客席の拍手が徐々に大きくなり、歓声が舞台に跳ね返る。
「もっと手拍子! みんなで盛り上げて!」
ステージの学生が声をかけ、観客も自然に手を叩く。
舞台袖で、美羽と葵は手を握り合いながら見守る。
「すごい……緊張するけど、見ていてワクワクするね」
「うん……私も応援したい!」
観客席の熱気、舞台上の輝き、そのすべてが胸に迫る。
空はカメラを手に、舞台の一瞬一瞬を丁寧に切り取る。
「この光景、絶対に“青の詩”に残す」
シャッター音が小さく響くたび、仲間たちの努力と笑顔が映像として刻まれる。
ステージの振り付けは一分一秒を争うほど緊密で、
少しの息の乱れも許されない。
それでも、学生たちは互いの目を見て、手を取り合い、リズムを取り戻す。
「大丈夫、私たちならできる!」
その言葉が、仲間全員の胸に響き、力に変わる。
——クライマックス。
音楽が高鳴り、ライトが一斉に光を放つ。
中心のリーダーがジャンプを決め、全員が息を揃えてポーズを取る。
観客席からは大きな歓声と拍手が湧き上がり、体育館全体が熱気に包まれる。
美羽は思わず立ち上がり、両手を振る。
「やった……本当に輝いてる!」
葵も隣で手を叩き、目に涙を浮かべる。
「努力が全部、形になったね!」
舞台裏では、学生たちが汗を拭いながら笑顔で肩を組む。
「やっと終わった……でも、最高だったね」
「うん! 一生忘れられない瞬間だ!」
涙と笑顔が混ざり合い、友情の温もりが空間に満ちていた。
空はカメラを下ろし、深呼吸する。
「これも……“青の詩”の一部になるんだな」
その言葉に、美羽も静かに頷く。
——三日間の文化祭で、模擬店もステージも、そしてアイドルイベントも、
全ての思い出が一つの物語として紡がれていくのだと実感した。
夕陽が体育館の窓から差し込み、柔らかい光が二人を包む。
「空、ありがとう。文化祭って、本当にすごいね」
「僕もだよ、美羽。仲間たちの笑顔を見るだけで、心がいっぱいになる」
——こうして、文化祭三日目のアイドルイベントは無事に幕を閉じた。
青春の熱気と友情の光が、舞台に咲いた花のように、彼女たちの心に深く刻まれたのだった。
第10章「三日間の星祭り・終章」
文化祭三日目の夕方、校庭には静けさが戻っていた。
模擬店や喫茶、ステージイベントで賑わった校舎も、今は片付けの時間。
焼きそばの香りも、笑い声も、観客の歓声も、すべてが遠くに消えていく。
美羽はカフェの片付けを終え、校庭を歩きながら深呼吸した。
「……終わっちゃったんだな」
葵も隣で、紙コップや小道具を片付けながら頷く。
「でも、楽しかったね。全部、思い出になった」
体育館のステージには、まだライトが残り、昨日の熱気を微かに感じさせていた。
ダンス部の凛たちの汗と笑顔、そして最終日のアイドルイベントでの輝き。
その全てが、美羽の胸に鮮やかに蘇る。
空はカメラバッグを肩にかけ、ステージ裏を歩く。
「最後の写真……この景色も残したい」
体育館の一角に残る装飾や、練習の痕跡をシャッターに収める。
その中で、机の上に無造作に置かれた一枚の紙が目に留まった。
——それは、ステージイベントの映像制作の合間に、空が書き残した短い詩。
「青の詩」——
文化祭の三日間の輝き、友情、努力、笑顔、すべてを閉じ込めた言葉たち。
美羽がその紙を手に取る。
「これ……空が書いたんだ」
空は少し照れたように微笑む。
「うん。文化祭の三日間を形にしたくて」
二人は校庭のベンチに腰を下ろす。
夕陽が西の空を染め、校舎の影を長く伸ばしている。
「この三日間、色んなことがあったね」
「うん。模擬店、ダンスステージ、アイドルイベント……全部、楽しかった」
美羽は詩を胸に抱き、静かに呟く。
「青の詩……まるで、私たちの文化祭の記録みたいだ」
空も頷き、遠くに残る校舎の姿を見つめる。
「そうだね。みんなの笑顔も、努力も、全部、ここに残る」
校庭には、帰り際の生徒や来場者の足音が遠くに聞こえるだけ。
でも、その静けさの中で、美羽と空は三日間の文化祭の余韻を、心の中で何度も反芻する。
「ねえ、空……来年も、また文化祭楽しもうね」
「もちろん。次はもっとたくさんの思い出を作ろう」
二人は笑顔を交わし、夕陽に染まる校庭をゆっくり歩き出す。
三日間の星祭り——模擬店通りの笑顔、ステージに咲いた花、アイドルイベントの輝き。
そのすべてが、青い詩のように、二人の心に永遠に刻まれたのだった。
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